映画「アリス」/ヤン・シュヴァンクマイエル
チェコの芸術家であり映像作家のヤン・シュヴァンクマイエル。
シュルレアリストとしての活動でも名を馳せている。
ところで “シュルレアリスム” ってなんでしょう
ド素人が僭越ながら想像すると・・・
ダリのビローンとした時計のイメージ?
ルネ・マグリットのビローンとした目鼻口のイメージ?
↑ 口はビローンしてなかった
『シュルレアリスム革命』誌の編集長となりその中心的存在であった
アンドレ・ブルトンの文学作品『溶ける魚』のイメージ?
(「自動記述」という実験的手法によって書かれた文章)
まとめると 夢の中の幻想的・意味不明瞭なムードということだろうか。
「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロルは
数学者であり論理学者であった。
彼が友人の子供とピクニックに出かけたときにせがまれて
口頭で作り出したのが「アリス」の物語。
お茶会へ急ぐウサギを追いかけ 不思議の国へ転がり落ちるアリスの物語はそれだけでも十分に “不思議” なのだが
その不思議をヤン・シュヴァンクマイエルが表現すると
より不思議に より不気味に より直達的に シュルレアリスムしている。
ヤンさん曰く 自分の表現について
「チェコ生まれの人間なら理解できるはずだ」と発言しているという。
インタビューで彼は次のように答えている。
『もっとも重要なのは、創造者のなかの「たくわえ」から生まれる内的な力です。自己表現にもちいる方法は取り替えられますから。専門家による「分業」は、最後は不毛な思考と空虚な「人工論」に行き着いてしまうので認めません。私が探し求めているのは表現の普遍性なのです。この意味において私の態度は「戦闘的」シュルレアリスムのそれです。』
戦闘的でありエンタテインメントとして成立している作家。
そして彼の普遍性とはなんだろう。