器用で不器用な男と不器用で器用な昭和の男/高倉健さん
(文化勲章受賞についてお母様にはなんと伝えましたか?という質問に対して)
“あんまり言いたくありません。すいません” 高倉健
個人から個人に伝えた「大切な言葉」は
たやすく他の人に公開するものではない。
そういう分別ができる昭和の大人がお亡くなりになった。
なんでもかんでも言葉にすれば伝わるわけではない。
インタビュアーは聞くのが仕事。俳優は演じるのが仕事。
語るべき言葉が見つからないときには
沈黙を選ぶのが大人のたしなみ。
リアルタイムではないものの
テレビで再放送されているのを小さい頃から何度も見た。
桃井かおりの浮遊感、武田鉄矢の汗臭い熱量、そして高倉健さんの大いなる沈黙。
きっと今日は多くの日本の大人たちが
心の中で小さな誇りとともに謹んで哀悼の意を表しているだろう。